前回の記事がこちらですが↓
これに引き続き、また教え子の熱意を目の当たりにしたので紹介させてください。今回は普段から柔道にすごく熱心な、努力家D君の話です。
今回の冬季ブータン柔道大会は、3月に開催が予定されている国際大会の選手選考を兼ねています。この大会で結果を出すことには、大きな価値があります。
そんな大会前ですが、D君は村に帰っていました。というのも、お爺さんの四十九日があったんです。そして今月は戻ってこない予定でした。村は片道二日ほどかかる場所にあります。簡単には戻れません。
前回の記事にも書きましたが、ブータンでは親戚や家族が集まるイベントはすごく大切なものです。家族をすごく大切にする、仏教国のブータン。家族が集まる宗教行事は、ここではすごく重みがあります。
それはわかっているんですが…。
今回僕は彼に、どうしても出場してほしいと思っていました。
彼は普段から、本当によく頑張っています。誰よりも直向きに、努力をしています。そんな彼はここ数年で、間違いなく実力をつけてきています。ですが感染症の影響で、国際大会に出る機会を与えられずにいました。そして今回は、やっと訪れる機会なんです。でも選考大会に出ない彼を、ブータンの代表に選ぶことを僕はできません。
数日前にD君にメッセージを送りました。
「21日の柔道大会だけど、当日だけでもいいからなんとかして来れないかな。今回の大会は、3月の国際大会の選手選考も兼ねています。この機会をあなたに逃してほしくないんです。」
ですが回答は、「難しいです」というものでした。それはそうです。仕方ありません。
だから今回は、彼の出場を諦めていました。
ですがなんと!彼が村から帰ってきたんです!
家族に今回のことを話して、許可を得て帰ってきたようです。ブータンでこんなことは、まずあり得ません。
僕が言い出したことですが、「本当に戻ってきて大丈夫だったのか」と、何度か訪ねてしまいました。
そして彼は、21日の大会に向けて練習をしています。
こんなにも真剣に柔道に向き合ってくれる教え子がいるなんて、僕はなんて幸せな指導者なんだろうと思います。こんな彼らの未来が明るくなるように、僕がもっともっと頑張らなくては。
実は数日前に車との接触事故を起こした子がいます。骨に異常はありませんが、背中にはしっかり傷が残っています。にもかかわらず、優勝を目指して今大会に出場する子もいたりします。
教え子たちの話をし出したら止まりません。こんな一生懸命な教え子たちです。
いよいよ明日の1月21日が、冬季ブータン柔道大会2023当日です。
ますます大会が楽しみになってきました。そんな出来事の紹介でした♪
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