

ブータンの学校は、年齢によって学年が決まっているわけではありません。
同じクラスに年齢がバラバラな子たちが沢山います。
そして、進級試験や卒業試験もあります。
これに合格しなかったら、進級も卒業もできません。
柔道をしている子たちにとってもこれは大きな壁です。お世辞にも勉強ができそうには見えない教え子がたくさんいます(笑)
つい先日試験の結果がでたのですが、教え子の中には落ちている子もいました。
これはそんなに珍しいことではなく、試験があるわけなので、落ちて同じ学年を繰り返す子も毎年一定数います。
ですが教え子の1人が相当思い詰めたようで、僕にメッセージを送ってきました。
この子は柔道の特待生として学校に通っており、それについて柔道協会に申し訳ないと思ったようです。
「今日もらったテストの結果がすごく悪かったです。僕の勉強をいつもサポートしてくれる柔道協会や親の荷物になっていると感じました。
もう一度同じ学年をやったところで合格できるかわかりません。僕は柔道を含めた全てをやめて、修行僧になるべきかもしれません。
先生には感謝しかなく、先生の親切や思いやりを僕は決して忘れはしません。今までありがとうございました。」
ちょーっと待ったー!
めちゃくちゃ思い詰めてますやん。
彼にとって今回の試験に落ちたことは、かなりのショックだったんでしょう。
だからって…俗世を捨てて僧にならなくても…。行き過ぎでは!?
とも思いましたが、彼にとってはそれくらいのダメージだったんでしょう。
まあでも、勉強なんてどうでもいいとヘラヘラしている子よりも、ずっと可愛いですよね。
声をかけて、とりあえず落ち着かせました。
その日の夜に親とも話したようで、俗世を捨てるのはやめにしたようです。よかった(笑)
この子、柔道はかなり楽しみな子なんですよね。
特別際立った才能があるわけではありませんが、誰よりも必死に練習をします。
才能じゃなくて練習量で勝負する感じ。当時の僕と重ねてしまって、すごくかわいいんです。
この頑張りによって彼は確実に伸びていて、前回の国内大会では優勝しました。
この子はきっとこのまま柔道を続ければ、ブータンを代表する選手になります。
そんな子が柔道から離れるのは、ブータン柔道にとってだけでなく、彼自身にとって大きな損害だと思うんです。
もちろん彼自身が柔道を辞めたいのならば、やり続けることはナンセンスだと思います。でもそうではないのだから、僕は彼の可能性を自分で潰させたくなくて。
もちろん勉強は必要です。
柔道さえできれば勉強をしなくてもいい。とは決して思いませんけどね。
説得して繋ぎ止めました。
柔道を続けて良かったと彼が思えるように、僕はこれからも全力を尽くしていきます。
ちょっと大袈裟だよ。とも思いましたが。
また気合を入れ直した出来事でした!
コメント