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最近は
様々な媒体の広告を通して「青年海外協力隊」という名前を目にすることが増えた気がします。しかしながら「青年海外協力隊」の名前は知っているけれど、具体的にはよく知らない方が多いのではないでしょうか。

この記事では、青年海外協力隊の概要や仕事内容、協力隊になるまでの方法、気になる年収やその後について、わかりやすく解説していきます。
 

【こんな人に読んで欲しい】
  • 青年海外協力隊に興味がある
  • 外国で仕事をしてみたい
  • 新たな世界に挑戦したい

【記事を書いたのはこんな人】
2018年から2020年まで、青年海外協力隊として南アジアの小国に派遣されていました。スポーツ隊員です。
現在は青年海外協力隊としての契約を終えましたが、派遣されていた国の組織と直接契約を交わし、スポーツ指導の活動を続けています。


今回は青年海外協力隊という仕事について解説していますが、具体的な自分の経験も交えて記事にしました。

それではご覧ください。

青年海外協力隊とは

青年海外協力隊とは、独立行政法人国際協力機構(JICA)が実施しているボランティア事業の一つです。1945年に発足され、60年以上の歴史があります。これまでに4万名を超える人が世界各国に派遣されました。

青年海外協力隊やシニア海外協力隊、日系社会青年海外協力隊、日系社会シニア海外協力隊などを総称して、JICA海外協力隊という呼ばれ方もします。

20218月現在、コロナウイルスの影響を受け派遣は一時中止していましたが、少しずつ再開されました。


仕事内容

仕事内容は、「自分の持っている技術や経験を生かして、開発途上国の国作りに協力する」ということになります。インフラ整備や人間教育、医療や農林水産に関するサポートなど幅広い活動を通して、開発途上国の発展に協力します。派遣期間は原則として2年間。要請によっては数ヶ月の短期派遣もあります。職種は大きく、9つの分野に分かれています。

  • 「計画・行政」:国・地域づくりに関わるシゴト
  • 「農林水産」:食べ物や自然に関わるシゴト
  • 「鉱工業」:ものづくりに関わるシゴト
  • 「人的資源」:教育やスポーツなど人を育てるシゴト
  • 「保健・医療」:いのちに寄り添うシゴト
  • 「社会福祉」:福祉に関わるシゴト
  • 「商業・観光」:経営管理・マーケティングや観光に関わるシゴト
  • 「公共・公益事業」:生活サービスに関わるシゴト
  • 「エネルギー」に関わるシゴト

各分野の中で、さらに細かく職種が分かれています。

例えば「人的資源」なら、青少年教育・小学校教師・日本語教育・環境教育・料理・スポーツなど。スポーツの中でもさらに、陸上競技・水泳・野球・柔道・サッカーなど、27の競技と職種が存在します。


案件についてはこちら。

JICAのホームページでご確認ください

 


また、短期派遣の募集もあります。派遣期間は1ヶ月〜1年未満で、期間は案件によって異なります。長期案件は派遣前に70日間の訓練(泊まり込み)があるのに対し、短期案件では最大5日の訓練になります。
 

【勤務先】

派遣先となる国は基本的に開発途上国であり、アジア・アフリカ・中南米・大洋州・中東などになります。現在はヨーロッパへの派遣は行われていません。勤務先は、案件によって様々です。首都など栄えている地域もあれば、地方もあります。案件によっては、国内各地を巡回するものもあります。

僕の場合は、首都で同じ子たちを対象にスポーツ指導をしています。協力隊仲間は、国中の体育館や学校を順番にまわって指導をしていくという方法でした。この場合は同じ子どもに指導をする頻度は低くなります。


協力隊になるには

協力隊になるには、

  1. 応募する
  2. 選考を受ける
  3. 派遣前訓練を受ける
  4. 受け入れ国へ派遣

のステップを踏むことになります。


①応募する

まず最初に、応募する案件を決めます。上記でも述べたとおり、様々な職種があります。専門的な知識や技能を要する案件から、特別な規定のない案件まで様々です。自分に合った案件を選んでください。

また、それぞれの案件について詳しく知りたい場合は、JICA主催の説明会で質問をすることができます。web型の説明会も用意されているので、気軽に情報を得ることができます。募集案件によって倍率も変わってくるので、案件は慎重に選ぶ必要があります。

青年海外協力隊の募集は、春と秋の2回あります。募集期間はだいたい、春募集が24月、秋募集が89月となります。年によって違うので、JICAのホームページで確認する必要があります。

応募はwebを使って行います。登録の際に必要な提出書類は以下の通りです。

・応募者調書(応募者の基本情報)

・適正アンケート(希望職種・要請の申告)

・語学力申告書(語学証明書)

・応募用紙(志望動機)

・技術調書(活動経験履歴)

・問診票・健康診断書

必要書類には郵送が必要なものもあります。健康診断書取得のため、提出期限に間に合うように健康診断を受ける必要があります。また、英語の資格(英検三級やTOEIC)を持っていない場合は取得する必要があります。英検は一年に3回開催され、全国各地に会場が設置されます。

僕も英検三級は期日ギリギリに取得しました。

英検の受験案内はこちら



②選考を受ける

選考は一次選考と二次選考に分かれています。

一次選考では、健康面と語学面での審査となります。こちらは提出書類をもとにした書類審査です。

一次選考に合格すると、二次選考になります。こちらは人物や技術を面接によって審査されます。2021年現在は、webでの面接になっています。職種によっては試験や作品提出を求められる場合もあります。


③派遣前訓練を受ける

二次選考に合格したら、派遣前訓練に参加します。訓練は70日間の日程で行われます。

派遣前訓練について、詳しくはこちら
 

万が一語学の成績が著しく低下したり適正に欠けると判断された場合は、派遣が取りやめになることもあるようです。


④受け入れ先への派遣

派遣前訓練までを終えたら、いよいよ派遣となります。派遣日は国によってバラバラです。同じ国に派遣されるメンバーは全員揃って派遣されます。

合格倍率

2019年秋募集の場合、全体で応募者数1252名に対し、合格者数は542名でした。全体の合格倍率は43.2%でした。全体で考えると半分以上が合格していないことになります。

ただ、募集職種は100種類以上あり、職種によって合格率は異なります。例えばサッカーは、要請数が2件なのに対し、応募者数は15名でした。合格倍率は13.3%になります。逆に陸上競技は要請数5件に対し、応募者数は1名で合格倍率は100%ということになります。

過去の職種別選考状況は、こちらに記載されています↓
過去のお知らせを遡ってご覧ください。 




応募資格

年齢】

青年海外協力隊の応募資格は2039歳でしたが、2018年に制度が見直され、現在は呼び名が海外協力隊(一般案件)に変更され、年齢は2069歳が対象と変更されました。ただし、職種によって年齢制限があるものもあります。


【学歴や資格】

こちらは職種によって異なります。大卒や専門学校卒などの学歴が求められている職種もあれば、実務経験年以上との記載がある職種もあります。こちらも案件によって異なるので、JICAのホームページで逐一チェックをする必要があります。案件の内容は毎回更新されます。


【語学力】

基本的には英語の場合、中学卒業程度(英検三級もしくはTOEICスコア330)とされています。応募の際の必要書類に、語学力申告書が含まれています。また、案件によって必要となる言語と言語レベルは異なるので、こちらもチェックが必要です。

僕の場合は英検三級だけで選考に合格しました。スポーツ隊員はほとんどの場合が英検三級で問題ないです。



年収

青年海外協力隊はJICAボランティアと呼ばれていたこともあり、ボランティアの印象が強いですが、決して給料を貰わずに活動するというわけではありません。現地での生活経費や毎月の手当(日本の口座への振り込み)が支給されます。


【手当】

訓練期間中は月40,000円、派遣期間中は月55,000円が支給されます。また活動を終えての帰国の際には、月額20,000×派遣期間の支給があります。
単純計算して、派遣前訓練は70日間なので約93,000円です。派遣は丸2年間(24ヶ月間)なので、2年間で1,320,000円貯まることになります。


【現地での必要経費等】

現地での必要となる生活費は、派遣される国の状況や物価に合わせて異なります。基本的に、現地の人たちの平均よりもいい暮らしができる程度は支給されます。

また、家賃や往復渡航費は、全額支給されます。


【実際に貯金は可能か】

具体的に僕の話をします、現地での生活費は月365$と、日本円に換算したら大したものではありませんでした。しかし現地通貨で換算すると生活するには十分な額でした。2日に一回外食をして、休日はカフェでデザートを食べたりしていましたが、月の生活費の半分程度で生活ができました。とはいえ、この余った額を日本円に換金しても大した額にはならないので、頑張って切り詰めて貯金をするよりも、現地での贅沢に使った方がいいと思います。僕の場合だと、近隣国への旅行のための航空券代に使っていました。

派遣期間中の手当は日本の口座に毎月貯まっていき、旅行や高額なネットショッピングなどでクレジットカードを使わない限りは減ることはありません。さらに派遣後には240,000円(月額20,000円×派遣期間)のまとまった金額も支給されるので、貯金をすることは可能です。



協力隊のその後

協力隊は基本的に、仕事を一旦辞めて2年間の開発途上国での仕事に就くことになります。しかし現職参加の制度もあり、自分の周りでは市の公務員や郵便局員、学校教諭などの仕事で、一度休職して協力隊の仕事に就き、活動終了後に元の仕事に復帰するという方々もいました。基本的には2年間という期限付きの仕事であり、一生続けていくことはできません。現職参加でない場合は、帰国後に再就職することになります。

正直なところ、青年海外協力隊の経歴が就職活動でどう捉えられるかは難しいところですが、グローバル化が進み在日外国人が増えている最近は、外国で仕事をしていたという経験は強みになると考えられます。

さらに最近、海外協力隊経験者に特別な加点や配慮を与える自治体が増えています。学校教員の採用試験などが例として挙げられます。このように海外協力隊としての経験が大きく評価されることもあります。

僕の場合は、協力隊としての活動終了後、雇われていた組織から直接契約をしたいとの話をいただき、JICAとの契約終了後も同じ国で活動を続けています。

詳しくはこちらから


協力隊としての活動が評価されて、その国での別の仕事につながることもあるそうです。

僕自身の話ではありますが、派遣先の国との直接契約を結びスポーツの指導を継続していました。
その結果、教え子のコーチとして東京オリンピックにも行ってまいりました。
その際の選手村での裏話も記事に書いているので、よろしければご覧ください。
 



最後に

今回は、青年海外協力隊の概要や協力隊になるための方法について解説しました。

青年海外協力隊という仕事は、自分の知らない世界を知り、自分の価値観を変えたり自分の世界を広げることができる魅力的な仕事です。また、自分が思いもしなかった方向へ、自分の可能性を広げることのできる仕事だと思います。

この記事を読んでいる方は、外国での活動に興味がある方だと思います。悩んでいるのであれば、ぜひ挑戦してみて欲しいです。


僕自身は大学卒業と同時に、青年海外協力隊になるという道を選びました。この選択をするまでの考えをイラストでまとめました。

よければ読んでください。


 

 

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