東京オリンピック選手村
宿泊施設を実際に使ってみて


僕はブータンオリンピック選手団の一員として、オリンピックの選手村に2週間弱、滞在してきました。
実際に自分が目で見て感じたことを書いていこうと思います。

今回は「宿泊施設」について。
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ある新聞記事によると、「部屋の設備環境に対する不満が噴出」しているそうです。入村した海外選手からは、部屋の狭さ設備苦情が出ているんだとか。ロシアメディアは「21世紀とは思えない。中世の日本のようだ」との不満を、組織委員会の会長に伝えたとの報道がありました。


設備といえば特に注目を集めているのは、大手寝具メーカーのエアウィーブが提供した「段ボール製のベッド」です。リサイクル可能な段ボール製のフレームや、大会後にプラスチック製品として再利用されるポリエチレン素材のマットレスで作られているとのことで、耐久性に関する疑問の声が上がっています。


これについて、実際にどうだったのか。
具体的に、写真やイラストを交えて紹介していきます!




選手村

選手村は、東京都中央区晴海に位置しています。
選手村の中には、高層階の建物がたくさんありました。
 
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この建物、大会後は改修されて民間のマンションとして分譲や賃貸されます

この敷地に50階建てのタワーマンションを2棟、商業施設を1棟増設するほか、水素ステーションも配備される予定になっているそうです。

近くには商業施設や学校も建設され「ハルミフラッグ」の名称で1万人以上が暮らす街となる予定なんだとか。

この東京ドーム約
9個分に相当する約44ヘクタールの広大な敷地が、現在は選手村となっています。

宿泊施設だけでなく、商業施設、競技会場に向かう専用バスの発着所などが併設されています。

オリンピック・パラリンピックの大会期間中、ほとんどの選手が選手村に宿泊します。

さらに選手だけでなく、我々コーチや各国のオリンピック委員など関係者も宿泊します。

そのため、かなりの数の宿泊部屋が必要ということになります。


宿泊施設の外観

宿泊施設はどれも、14階〜18階建てです。これが選手村の中にいくつも建ち並んでいます。
宿泊棟だけで21棟・3800あるそうです。
 
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選手村の中のほとんどの建物は、この宿泊用の施設です。
外見を見るだけでは、「中世の日本」ではありませんね。
 
僕らブータンチームは、15階の部屋でした。
15階からだと、景色がよく見えます。

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東京タワーも見えました!
 
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次は宿泊施設の内装について。


宿泊施設の内装

【グランドフロア】

まずはグランドフロア。入ってすぐに、簡易的な受付があります。
常に数名の日本人スタッフがいました。ボランティアの方々ですかね?

全ての建物にこれがあるので、何かあってもすぐに尋ねることができました
 
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シーツやタオルは自分で持っていくことができます。
とはいえ、定期的なハウスキーピングは来ていただけます。

ロビーにはちょっとした寛ぎスペースがありました。
机と椅子があり、ソファも置いてありました。
テレビはここに大きなものが一つあります。

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ただ各部屋にテレビはないので、ここへ降りてこなければテレビを見ることはできません
建物1棟に何百人ものオリンピック関係者が泊まっていて、テレビはたったの一つだけです。

これに関しては確かに不便に感じました。

オリンピックの開会式後は、どの国の方も自国の成績や様子が気になります。そのため、大勢の人がテレビを見るために集まってきます。
かなりになって、他国の人と一緒にテレビを見るといった状況でした。

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また、テレビは一つだけなので、見たい競技が見られないこともあります。

テレビに関しては、文句がでても仕方がないかもしれません。


以上がグランドフロアについてです。
次はそれより上の階について。
 

【宿泊部屋】

2階から上は全て、宿泊用の部屋でした。
僕らが利用した部屋は、部屋の中でさらに四つの寝室に分かれている作り。
ルームシェアを思わせる内装です。
 
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リビングとトイレ・シャワーは共用で、寝室だけがそれぞれ分かれているといった形。
ベッドが二つある部屋もありました。

僕らブータンのオリンピック選手団は合計で9人
二つの部屋に分かれて宿泊することになりました。

二部屋合わせて寝室は8つ
人数は9人だったので、一組は相部屋にならないと足らないという状況でした。
 

壁はかなり簡易的な板でできた作りでした。
クーラーも簡易的に設置されており、オリンピック終了後に簡単に作り替えられるようになっていました。

とは言え、クーラーに関しては快適でした。

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このようなエコな作りですね。
確かに部屋自体はかなり狭かったです。
ですが、寝るためだけなら十分かなと思います

こちらが噂の「段ボール製のベッド」です。
 
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確かにフレームは段ボール製です。
とはいえ、寝心地は文句なし15泊しても何の問題もなく快適に寝られました

マットレスやお布団は流石にダンボールではないので、寝心地は申し分なかったです。
 
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掛け布団や枕は快適な肌触りで寝やすかったです。

ただ壁は薄く、扉の上には隙間がありました。
隣人の歌声が聞こえてくるくらいには簡素でしたね。


ハウスキーピングサービス

ハウスキーピング3日に一回のペースで来ていただけました。
トイレや共用スペースだけでなく、各寝室も掃除してもらえます。その際、シーツやタオルの替えも置いてもらえます。
溜まったゴミも回収してもらえるので、とてもありがたかったです。

この膨大な部屋数に対して、3日に一回の頻度でまわるのはとんでもなく大変だと思います。

ありがとうございました。常に清潔な状態で過ごすことができました。



アメニティグッズ

宿泊施設には、アメニティグッズは基本的にありませんでした。

シャンプーやリンス、ボディーソープなどがありません。
個人的には、ドライヤーがなかったのが残念でした。

また、冷蔵庫は置いてある部屋と置いていない部屋がありました

ハズレの部屋を引いたら、冷蔵庫は使えないといった状況。
冷蔵庫は、各寝室にとは言わないけれど、せめて各部屋には欲しかったです。 


あとで調べたところ、テレビや冷蔵庫の不足について、基本的に冷蔵庫やテレビはレートカード(有償レンタル)の対象になっている。然るべきタイミングにオーダーされていれば、組織委員会はそれを提供する責務はある」と大会組織委員会が弁明したそうです。

しかしそのような話は、選手団には伝わっていませんでした。
ブータン選手団だけでなく、他国の選手団からもそのような話を聞く事はありませんでした。
どの国の選手団にも、伝わっていなかったようです。


ビレッジプラザ

シャンプーやリンス、石鹸に関しては、選手村に一つだけある日用品店(コンビニのようなもの)で買うことができます。
 
ビレッジプラザと呼ばれるスペースがあり、ここに日用品店があります。
 
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ビレッジプラザには、美容院や郵便局、フォトスタジオ、auショップ、お土産屋さんなど、いろんなお店がありました。ここは快適でしたね

ただ日用品店はかなり小さな店舗で、置いてある数に限りがありました

シャンプーやリンス、石鹸などは早い段階で売り切れしまいました。
入荷まで数日間体を洗えないという状況でとても残念でした。 

また、シャンプーやリンスがそれぞれ、かなり高い値段で売られていたのも、少し気にはなりました。
外出ができないためここでしか購入ができないので、買いましたが・・・。


以上が実際に選手村に泊まって感じたことです。


まとめ

ロシアメディアの「21世紀とは思えない。中世の日本のようだ」との不満に関して、部屋の狭さ」は文句を言うほどではないと思いました。
トレーニングや飲食、お喋りなどのためのスペースは別で用意されているので。壁の薄さは少し気になりましたが。

簡素だと話題に上がりやすいダンボールのベッドや寝具に関しては、文句なしでした

ただ、アメニティグッズ(ドライヤーや冷蔵庫、テレビ、シャンプーなどの必要最低限のもの)に関しては、海外選手を日本に招き入れ、「おもてなし」をすると言う意味では、足りなかったかもしれないと感じました。

とはいえ、
  • 常にスタッフの方が各施設に配備され、いつでも対応していただける環境
  • 頻度の高いハウスキーピング
  • 各国の選手団についてサポートしてくださるスタッフ
など、ホスピタリティ精神はいろんなところで感じることができ、そこには確かに「おもてなし」がありました。

スタッフの方々には感謝しかありません。


最後に

今回僕は、オリンピックの代表選手団の一員として選手村に入りました。

ボランティアスタッフや運営側ではないので、自由に写真を撮ることができました。

感想なんかも自由に書くことができます。



せっかくなのでしばらくは、選手村でのあれこれについて書いて見ました。

よければこちらの記事もご覧ください。↓




 
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